なぜ歯の神経は残した方が良いの?神経を抜くデメリットについて

      2023/02/22

こんにちは、新宿区大久保の橋本歯科医院です。
当院では、「なるべく歯を削らない、神経を残す治療」を前提として治療を行っており、おかげさまで多くの患者さまからお喜びの声をいただいております。

しかしながら、患者さまの中には
「神経ってやっぱり残した方がいいんですか?」
「また痛くなると困るから、神経を抜いてほしい」
という方もいらっしゃり、神経を抜くデメリットについてはあまり深く考えていらっしゃらない方もいます。

そこで本日は、歯の神経を抜くデメリットについてご紹介させていただきたいと思います。

 

そもそも、歯の神経の役割って?

歯の神経は、正式には「歯髄(しずい)」と呼ばれ、血管と神経が入り混ざった状態で存在しています。

歯髄には、歯に栄養や水分、酸素を運んだり、免疫などの防衛反応を伝達するなど重要な役割があり、そのおかげで歯はツヤや丈夫さを保つことができます。
そのため、歯の神経がなくなってしまうと、栄養分や水分が歯に行き届かなくなってしまい、まるで枯れ木のように脆く、割れやすくなってしまいます。

そうすると、必然的に歯の寿命も短くなりますので、義歯やブリッジなどの補綴手段が必要となり、結果的に治療にかかる費用も大きくなってしまうケースが多々あるのです。

 

歯の神経を抜くデメリット

歯が脆くなり、割れやすくなる(歯根破折)

日本人の抜歯の原因として一般的に広く認知されているのは「歯周病(37.1%)」「むし歯(29.2%)」ですが、実は歯周病や虫歯に続く第3位の原因として注目されているのが、「歯根破折(17.8%)」です。

歯根破折とは、歯の根が折れたり割れたりすることを言い、歯根破折が起こってしまうと、ほとんどのケースで抜歯をせざるを得なくなってしまうため、なるべく避けたい怖い症状のうちの一つです。

歯根破折の原因はさまざまですが、噛む力が強すぎたり、食いしばりや歯ぎしりの癖などにより引き起こされることも多く、近年、徐々に増加傾向にあります。
歯根破折は、神経のある歯の場合はめったに起こることがなく、ほとんどが神経の無い抜髄済みの歯に起こります。
それは、神経のある歯の場合、歯に栄養分や水分が行き届いているため、多少のダメージや圧力が加わっても歯が「しなる」ことで加わった力を吸収してくれますが、神経の無い歯は水分や栄養分を失っているため、枯れ木のように「しなり」を失い、割れやすく、折れやすくなっているためです。

特に、神経を抜いた歯に被せ物をかぶせるときの土台に金属が使われていたりすると、金属は強度が強すぎて「しなり」が無いため、加わった力の応力が歯の根の部分に集中してしまい、さらに歯根破折が起きやすくなります。

 

歯の根の先に膿が溜まる「根尖性歯周炎」になりやすくなる

根尖性歯周炎とは、歯の中の神経の入っている管(根管)内で細菌が繁殖してしまい、歯の根の先の部分に膿が溜まってしまう状態を言います。
歯の神経がある状態ですと、歯の神経の持つ免疫力により、侵入してきた細菌をやっつけたりブロックしたりすることができますが、神経がとられてしまった歯は細菌に対する抵抗力が失われてしまっているため、細菌感染を起こしやすくなっているのです。

根尖性歯周炎の症状としては、
・疲れたときに歯ぐきが腫れる。
・歯ぐきからうみが出てくる。
・噛むと違和感・痛みが出る。
等が挙げられ、歯の根っこの治療(根管治療)が必要となります。

 

歯の色が、黒や茶色に変色してしまう場合がある

神経のある歯の場合、血液が循環していることで歯に栄養が運ばれたり、古い物質を代謝することができますが、神経を抜いてしまうと、根管内の血管も抜くことになるため、こういった代謝の働きがほぼなくなってしまいます。
そうなると、組織の変異物や古くなったコラーゲン物質、血液中の鉄分などが歯の中に入り込んで沈着し、時間と共に褐色〜黒色に変色していきます。

中から黒くなってしまった歯は、外側からホワイトニングをしても白くなりませんので、歯の内側からのホワイトニング(ブリーチング)を行う必要があります。

 

痛みを感じなくなるため、歯のトラブルに気づくのが遅れる

歯の神経には、「痛い」や「しみる」といった歯の異常を教えてくれるという大事な役割もあります。

歯が痛いときやしみるときなど、神経を取ってしまえば痛みは治まります。
そのため、痛みが発生しないようには神経を取ってしまった方が良いと考える方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、逆に痛みが発生しないということは、たとえ歯の内部で虫歯が進行していたとしても気づくことができず、治療が遅れてしまうというデメリットもあります。

歯科治療は基本的に、治療が遅れれば遅れるほど大掛かりなものとなり、治療にかかる費用も時間も多く必要になります。
最小限の費用と労力で済ませるためにも、歯の神経を残しておくことが大切となります。

 

乳歯の場合、永久歯の形成に影響が出る場合がある

「乳歯の神経を取ったら、永久歯の神経もなくなってしまうの?」
と心配に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、乳歯と永久歯は全く別のものですので、乳歯の神経を取ったからと言って永久歯の神経もなくなってしまうわけではありません。

ですが、乳歯が虫歯になり、乳歯の根の先に膿が溜まっているような状態の場合、その乳歯の下に控えている後続の永久歯に影響が及ぶ場合があります。

膿の袋の中の細菌が永久歯に感染してしまい、永久歯が変色したり、永久歯の発育を阻害して形成不全の状態で生えてきてしまうのです。

乳歯の神経を取ってしまうと痛みなどの自覚症状が無くなるため、虫歯や細菌感染に気が付きにくくなり、結果として永久歯に悪影響が及んでしまうケースも珍しくありません。

 

歯の神経を残すための治療

最近では、歯の神経を残す重要性も認知されはじめ、適切かつ最小の侵襲によって最大の治療効果を得る Minimal interventionという歯科治療の基本概念も徐々に浸透しつつあるように思います。

当院でも、なるべく削らない、神経を取らないMI治療を実践しています。

具体的には、歯にヒビの入る可能性のあるタービンを使わずにパウダーで虫歯を飛ばして治療する「エアアブレーション(アクアケア AQUACARE TWIN)」や、薬の力で虫歯菌を無力化する「ドックベストセメント」、熱エネルギーで虫歯菌をやっつける「レーザー治療」、強力な殺菌力で虫歯菌を除去「オゾン治療」など、さまざまな治療法を取り入れています。

歯を削りたくない、神経を残したいとお考えの方は、まずは当院までご相談にいらしてください。

⇒歯を削らない、神経を抜かない治療について、詳しくはこちら

 

神経を取ってしまった歯でも、諦めないでください!

神経を取ってしまった歯は、神経のある歯に比べてどうしても耐久性が落ちてしまいますが、そんな神経を取ってしまった歯でも、噛み合わせや咀嚼運動をしっかり確認して被せれば、かなり長持ちさせてる事は可能です。

それには、模型(歯型)を作り、フェイスボウトランスファー(顎顔面に対する歯の位置、顎骨の位置を確認する検査)をし、シンラシステムの咬合器に装着し噛み合わせを診断し、ゴシックアーチで顎運動を再現し、それに合わせて被せ物を作製すると言う作業を要します。
少し時間は掛かりますが、それにより被せた歯は、よく噛めて、歯も歯周組織も守る物となり得るのです。

だから、安易に噛み合う歯(対合歯)に合わせて「ハイ、噛んで」と言う状態の噛み合わせで被せ物を作ってしまう危険性を考えていただきたいと思います。

今、スキャンして1DAYトリートメントと言う方法が流行っていますが、小さなインレータイプの物や一本二本の被せ物以外は、全身の健康に直結する咬合を第一に考える当院としては、きちんと全体の診査診断を行って、治療計画を立てる事をお勧めします。
年齢を重ねてから後悔することの第一位に「歯をもっと大切にしておけば良かった」と言う項目が有る様に、忙しい、時間が無いと言うことよりも、まずはご自分の歯の事を第一に考えていただきたいと思います。

 



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