歯の黄ばみはクリーニングで白くなる?ホワイトニングとの違いについて
2024/12/20
こんにちは。新宿(大久保駅)の歯医者、橋本歯科医院です。
「人にいい印象を与えたい」「自分をよりキレイに見せたい」という欲求は、老若男女問わずだれにでもある欲求ですよね。
最近では、人の第一印象を決める要素として歯の色が大きく関係しているという調査報告もあり、ホワイトニングの需要も年々高まってきました。
ドラックストアでも様々な種類のホワイトニンググッツが販売されるようになりましたが、一方で「ホワイトニンググッツを試したけれども、まったく効果がなかった」という方もいらっしゃいます。
歯の着色の原因には種類があり、その種類によって白くする方法が異なるため、ご自身の着色の原因に合っていない商品を使ってケアをしても歯を白くすることはできません。
そこで本日は、歯の着色の種類(原因)と、原因別の対処法についてご紹介したいと思います。
生まれつき黄ばんだ歯の人もいる?
もともとの歯の色は人によって様々で、真っ白な歯を持つ人もいれば黄色っぽい色をして人もいます。
特に日本人は欧米人に比べ、黄色味が強い色をしていることが多いですが、これは日本人と欧米人の歯の構造上の特徴の違いに由来します。
歯の構造は、表面は半透明乳白色のエナメル質、その内側に黄褐色をした象牙質、そしてその象牙質の中に神経や血管が集まった赤色の歯髄、という3重構造からなっており、もともとの歯の色は、これらエナメル質(乳白色)、象牙質(黄褐色)、歯髄(赤色)が混ざり合って見える色になります。
日本人は欧米人に比べて表面のエナメル質が薄いため、象牙質の黄褐色が出やすい傾向にあるのです。
そのため、ホワイトニングにおいても欧米人は明るく真っ白な色を好みますが、日本人はもう少し黄味がかった自然な乳白色を好む傾向にあります。
生まれ持った歯の色が黄ばみが強い場合であっても、ホワイトニングで白くすることも可能ですのでもありますので、お気軽にご相談いただければと思います。
歯の着色の種類(原因)
歯が変色してしまう要因としては色々な要素が関係していますが、大きく分けると、歯の表面への着色(外因性のもの)と、歯そのものの色調が変化する変色(内因性のもの)に分けられます。
外因性のもの
歯の汚れを表す言葉として「ステイン」という言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。
ステインとは歯の表面に付着した汚れの総称で、その形成には、食品やタバコに含まれるポリフェノールやタールなどの物質と、歯のエナメル質の表面を覆う「ペクリル」という物質が関係しています。
ペクリルは唾液に含まれているタンパク質によってできている物質で、普段は歯の表面を薄い膜で覆って歯を酸から守ってくれる働きをしていますが、この膜にポリフェノール等の物質が付着し蓄積されると、その付着した物質と結合してステインを形成します。
特にタバコに含まれるタールはペクリルと結びつきやすい性質があり、頑固な着色汚れとなります。
ステインの原因1 飲食物に含まれるポリフェノール類による着色
ポリフェノールというと、身体に良い成分というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
確かにポリフェノールには抗酸化力がありアンチエイジング効果も期待できるのですが、一方で歯の黄ばみをつきやすくするという特徴もあります。
身体の健康のためにも積極的に摂取したいポリフェノールですが、歯への着色が気になる場合はポリフェノールが含まれる食品を飲食した後に、歯の表面にポリフェノールが残らないように水で口をゆすぐとよいでしょう。
摂取後すぐにゆすげば、色素沈着を抑えられます。
ポリフェノールのなかでも特に色素が強いものとしては、次のようなものが挙げられます。
カテキン
緑茶、紅茶、抹茶、大豆、小豆
タンニン
赤ワイン、お茶、渋柿
テアフラビン
紅茶
アントシアニン
赤ワイン、ブルーベリー、ぶどう、プルーン、ナス、シソなど
クロロゲン酸
コーヒー豆、さつま芋、じゃが芋、ゴボウ、ナスなど
カカオポリフェノール
チョコレート、ココアなど
クルクミン
カレー、マスタード、ウコン茶、ウコン粉末(ターメリック)
ステインの原因2 タバコのヤニ
タバコのヤニの汚れや臭いの原因は、「タール」と呼ばれる物質によるものです。
タールはポリフェノール以上にペリクル層に取り込まれやすいという性質をもっており、一度歯にこびりついてしまったヤニは普通の歯磨き粉などではなかなか落とせません。
また、タールは強い油性で粘着性がありますので、それが歯の表面に付着することで食べかすなどの汚れを吸いつけ、調味料や飲み物の色成分を沈着しやすくしてしまいます。
ステインの他にも、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素といった有害物質は歯ぐきの黒ずみの原因にもなります。
ステインの原因3 酸性の強い飲食物
お口の中が酸性に傾くと、歯のエナメル質からリンやカルシウムが溶け出す「脱灰」という現象が起こります。
ミネラル分が溶けだした歯の表面は結晶構造が壊れて荒れた状態になっているため、色素が沈着しやすくなっています。
酸性の強い飲食物は「脱灰」を促進させますので、色が濃い食べ物や着色料が入った飲食物と一緒に摂取すると色素沈着を起こしやすくなります。
炭酸飲料やスポーツドリンク、ミカンなどの柑橘系の果物や、お酢、梅干しなどが挙げられます。
内因性のもの
内因性の黄ばみの原因としては主に、加齢によるものと神経の病変によるものが挙げられます。
その他にも、テトラサイクリン系という種類の抗生物質を胎児期、授乳期に母親が服用したり、本人が歯の形成期(6歳頃まで)に服用することにより象牙質が黄色やグレーに変色することがありますが、現在ではそのようなタイミングで抗生物質が使用されることはほとんどないため、症例も見かけなくなりました。
加齢によるもの
歯の色は「エナメル質(乳白色)、象牙質(黄褐色)、歯髄(赤色)が混ざり合って見える色」とお伝えしましたが、年齢を重ねると、歯の内部にある象牙質(黄褐色)の色は濃くなり、また厚みも増してきます。
また更に、歯の表層にあるエナメル質(乳白色)が摩耗などによって薄くなりますので、象牙質が透けて見えやすくなり、歯が黄ばんで見えるようになります。
神経の失活によるもの
歯を打撲して神経が死んでしまった場合や、虫歯などで神経を取る治療をした場合、時間が経つに取れて歯の色が黒ずんでしまうことがあります。
これは、神経がなくなってしまうことで、歯に血液やリンパ液の補給が十分にできなくなり、象牙質の中にあるコラーゲンなどが古くなって変色してしまうためです。
神経が失活してしまったことによる変色は、失活してすぐに変色するとは限らず、何年もかかって徐々に変色していくことが多いです。
外因性の着色には「クリーニング」
ステインが原因の外因性の着色の場合、ステインを除去する「クリーニング」が有効です。
ステインを除去するためのクリーニングは、自宅で行うセルフケアと歯科医院で受けるプロケアの2つに分けることができます。
1.自宅でのセルフケアによるクリーニング
最近ではステイン除去成分の入った歯みがき粉なども市販されていますので、そういったホワイトニング用の歯磨き粉を活用することである程度ステインを落とすことが可能です。
ただし、ホワイトニング用の歯みがき粉には、しつこい汚れをしっかり落とせるように研磨剤がたくさん含まれている場合がありますので使用には注意が必要です。
研磨剤は着色汚れには効果的ですが、歯のエナメル質の表面を傷つけてしまい着色汚れを悪化してしまうリスクもあるからです。
また、ステインクリーナーなどのステイン除去アイテムも同様で、これらのアイテムは汚れを落とす力が強力すぎるがゆえにエナメル質を剥がしてしまい、よりステインがつきやすい状態にしてしまうリスクもあります。
ホワイトニング用の歯みがき粉やステイン除去アイテムは、着色汚れが気になるときにだけ使用し、普段はなるべく研磨剤が入っていない歯みがき粉を使うなどといった工夫が必要です。
2.歯科医院でのプロケアによるクリーニング
歯科医院では「PMTC(ピーエムティーシー)」と呼ばれる歯のクリーニングを受けることができます。
特別な訓練を受けた歯科衛生士が専用の機材と薬剤を使用し、普段のブラッシングでは落としきれなかった歯垢や歯石、着色汚れなどを徹底的にお掃除してくれます。
1本1本ていねいに磨き上げますので、タバコのヤニやポリフェノールによるステインの場合、初期のものであればこのクリーニングによってある程度キレイにすることができます。
しかし、長期間放置されたステインは色素沈着によりエナメル層にまで浸透してしまっている場合もあり、表面のステインを落としただけでは着色が落ちない場合もあります。
そういった場合は、歯の内部から白くする「ホワイトニング」がおススメです。
内因性の着色には「ホワイトニング」
内因性の着色には、歯そのものを白くする「ホワイトニング」が有効です。
過酸化水素という漂白作用のある薬剤を使用し、歯の中にある色素を分解して歯の明るさを上げていきます。
ホワイトニングには、歯科医院で行うオフィスホワイトニングと、自宅で行うホームホワイトニング、そしてオフィスホワイトニングとホームホワイトニングを同時に行うデュアルホワイトニングがありますが、加齢が原因による黄ばみの場合はほとんど、このホワイトニングで白くすることが出来ます。
一方で、神経の失活による着色の場合は上記のホワイトニングではあまり効果がないため、「ウォーキングブリーチ」という治療か、セラミック治療が有効になります。
ウォーキングブリーチとは、変色してしまった歯の神経を取り除き、歯の中に漂白する薬剤を流し入れることで歯を内側から白くする方法ですが、ウォーキングブリーチによって得られる効果には個人差があり、どのような白さになるかは歯の状態や質、継<続期間等によって左右されるため、周りの歯の色と全く同じにすることは難しい傾向があります。
そこで色を細かく調節したい場合は、セラミックをかぶせて周りの歯の色に合わせるセラミック治療も選択肢として考えてみるとよいでしょう。
治療法にはそれぞれメリットデメリットがありますので、担当の歯科医師とよく相談の上、ご自身に合った方法を選ぶようにしましょう。
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